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作品

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The Shadow Series - かげシリーズ -

影をつかったインタラクティブ・アニメーションのシリーズ。
木塚あゆみ+松本一輝によるインタラクティブ・アニメーション作品です。
2007年から発表をし、改良したバージョンとして現在までに torikage -トリカゲ-
Mebuki -めぶき-Kageto -かげと。-の3つをリリースしました。

1. torikage - トリカゲ - (2007)

torikage

torikage

torikage
撮影のようす
 

torikage -トリカゲ-は、光が当たっている壁の前に立つと、影ができます。 そのできた影に、鳥の影がやってきて腕にとまります。止まりやすそうなところであれば、頭の影の上や物の影の上などにもやってきます。この作品はスクリーン(または壁)、プロジェクター、PC、Webカメラを使って展示します。これまで展示してきて、特に子どもたちに人気です。

◆技術的な仕組み

この作品にあわせて画像処理アルゴリズムを設計しました。まず影を認識するために、ウェブカメラから取得したリアルタイムのビットマップ画像を2値化し、垂直方向のエッジ検出フィルタを適応します(横線が検出される)。その中で一定時間安定して検出されるピクセルに、アニメーションが表示されるという仕組みです。

◆お米を使ったアニメーション

torikage -トリカゲ-のアニメーションは、お米で出来ています。どういうことかと言いますと、まずお米を鳥のかたちに並べます。それを少しずつ動かしながらコマ撮り撮影したものを用いています。

なぜお米か。これには理由がいくつかあります。1つ目は、普段わたしたちはお米をよく食べます。日本人の主食ということで、私たちが活動できているのはお米のおかげと言っても過言ではありません。作品にもそのお米のエネルギーとか魂を使わせてもらいたい、という思いでお米を用いました。2つ目は、精米されたお米の形状が面白い形をしており、この形を生かせないかなと思っていたからです。実際に使用してみて、線画では出せない生き物のようなモゾモゾとした独特な動きを出すことができました。3つ目に、物体を使用することで線がを塗りつぶす手間が省けると思ったからです。この作品はプロトタイプを作るのに1週間という短い期間で作らなければなりませんでした(コンペティション出品の締切のため)。そこで手に入りやすい素材として、お米を選ぶことになりました。

この作品は、私が北海道に住んでいたときに制作しましたので、北海道産のお米「ほしのゆめ」を使いました。この作品以降、制作した土地の素材をピックアップするようになりました。ところで、「ほしのゆめ」をはじめとして、北海道のお米は年々美味しくなっていると思います。これをご覧の方もぜひ一度召し上がってください! ちなみに撮影に使ったお米はすこし水分が抜けてしまうため、やや多めの水で炊くと美味しく頂けます。

関連リンク

 


 

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2. Mebuki - めぶき - (2010)

Mebuki

Mebuki

Mebuki
Okayama Media Arts Festival 2010
 

Mebuki
撮影のようす
 

Mebuki -めぶき-は、torikage からアルゴリズムを改良し、影から植物がが生えるアニメーションもプラスしたバージョンです。鳥が飛んでくるのに加え、影から芽が出、成長して花や実がなります。この作品も、子どもからお年寄りまで多くの人たちに人気です。

◆インスピレーション

生きている動物に菌類が侵入することで、生き物がだんだんキノコになってしまうことがあります。冬虫夏草という菌類がその一種ですが、他のキノコでも動物の免疫機能が衰えていれば、寄生してしまうことがあります。動物と植物の間の存在であるそれらが、イメージの元となりました。

◆素材

Mebuki -めぶき-は、私が岡山に住んでいたときに制作したので、魂を込める意味で、芽吹くアニメーションは岡山県産の黒いお米「紫黒米」を使ってコマ撮り撮影し作りました。「紫黒米」の長所は、半透明である白米と違ってはじめからコントラストが強いため、画像処理が比較的簡単にできることです。また、このお米は歯ごたえがありとても美味しく、撮影後も美味しくいただきました。道の駅などで購入することができます。

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3. Kageto - かげと。- (2011)

Kageto

Kageto
かげ と 切り絵
 

Kageto
かげ と ドローイング
 

Kageto

Kageto
博多駅にて
 

torikageMebukiを展示する過程で、展示する場所によって遊び方を変えてみようという機会が増えました。そこで、これらの遊び方を拡張したものを、Kageto -かげと。-と呼び、展示しています。

◆かげ と 切り絵

2011年 石橋美術館(福岡県久留米市)で大きい壁を使った展示ができる機会がありました。子ども向けの参加型の展示として、切り絵をテーマに選びました。子どもに黒い画用紙を自分で切ってもらい、壁に貼りつけると、その切り絵に鳥が飛んできたり 切り絵から植物が生えたりするというコンテンツになりました。小さい子でもハサミを使って三角や丸を簡単に切ることができます。大きい子はもっと細かく器用にハートや星を、大人は人間や電柱、山など複雑な図形を切り 貼り付けていました。大人から子どもまで、互いの作った作品を通じてコミュニケーションでき、多様な遊び方を編み出していました。

◆かげ と ドローイング

2011年 デザインフェスタにて、鳥好きのみなさんが集まって展示をすることになりました(鳥フェス)。展示ブースが狭かったため、プロジェクタを使った展示をするには工夫が必要でした。また、デザインフェスタということで、絵を描くのが好き・得意な人が多く訪れるだろうと考え、見に来てくれた人に絵で参加してもらえるようにしました。携帯できるホワイトボードを壁に貼り、マジックで好きなように絵を描いてもらいます。そこにプロジェクタを投影することで、自分の描いた絵から木が生えたり 鳥が止まりにやってきたりします。自分の生み出した絵を新鮮な気持ちで眺めてもらえました。

◆博多バージョン

2011年 博多駅-天神駅間の街中にアート作品を展示するという企画、まちなかアートギャラリー の一環でJR博多駅のショッピングビルと改札口の間のひろばに展示しました。博多バージョンとして、明太子が生える木とラーメンが生える木が12時から5分間、17時から5分間の、一日に計2度登場するシークレットモードを設定しました。もちろん福岡県産米(このときはもち米を使用)を使ってアニメーションを制作しました。

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Sagi - サギ - (2011)

Sagi

Sagi
デザインフェスタで販売
 

Sagi -サギ-は、田園風景に佇まうサギを連想させるプロダクト(インテリア)です(※注:動きません)。私が岡山県の田園地帯を通勤していたとき、頻繁に真緑の田んぼに真っ白なシラサギが立っているのを見かけました。その緑と白のくっきりとしたコントラストが美しく、「そこにいるのバレバレやん」と思わせるのんびりとした佇まいに微笑ましさを感じました。

「田舎の風景をもう一度あなたの身近に…」をコンセプトとして、身近なところでも、田園風景を見たときに感じるあたたかい気持ち、懐かしい感覚を再現するため、この作品を制作しました。

使い方は、作品の下部にある穴に付属の棒を刺し、猫用の草や、近所の空き地にある草むらなどにSagi -サギ-を立てます。そして、遠くから鑑賞し、頭の中にぼんやりとあなたの思い描く田園風景を思い浮かべてください。

デザインフェスタVol.33で販売したタイプ Vol.1 は、市販の猫用の草の大きさに合わせた、高さ10cm、防水加工済み石粉粘土の仕様です。今後さまざまな大きさの陶器製サギを制作します。近所の空き地に何体か立てておき、なんとなく日常生活の中に溶けこんで、最後には自然に還っていくといいな、と考えています。

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おもいぬま - Omoi-numa - (2008)

Omoi-numa

Omoi-numa
水槽の中
 

Omoi-numa
水が流れるようす
 

Omoi-numa
足元から中心に向かって水が流れる
 

おもいぬま -Omoi-numa-は、木塚あゆみと澁谷智志によるインタラクティブ・ステージです。人と人のつながりを、水がつながる様子になぞらえ、離れた2つの舞台の上に乗った2人の気持ちが通じたときに、台の下から水が湧いてきて、2人の真ん中でつながります。完全に水がつながり満水になると、天井から水滴が落ちてきて、ちょうど2人の視線が合う高さに当ててある照明の効果によってキラっと光ります。それを見つける瞬間に2人の目が合って、お互いの絆を再認識できるステキな体験ができます。

◆技術的な仕組み

この作品において、「人と人の気持ちが通じる」とは、「互いの身体リズムの周波数が近い状態であること」としました。そのため、焦電センサと赤外線センサを用い、2人の動きの度合いをリアルタイムで計測し、その値が近くなると互いの舞台下に設置されたポンプが作動し、二人の間の溝を水がゆっくりとかけのぼります。プールは中央に向かって緩やかな坂になっており、水が上るにつれてポツポツと白い光が点灯します。満水になると中央に青い光が1つ点灯します。それに連動し、天井に仕掛けられた水滴を落とすためのポンプが作動します。これらの制御はGainerというマイコンを用いました。たくさんの水という重量の大きい物質を、少ない動力を使って制御するのに大変苦戦しました。

◆今後の展開

おもいぬま -Omoi-numa-は、ちょっと遠いけど互いの声が聞こえる距離、6mに設定して制作したため、全長8mの大きな作品になりました。岡山県立大学のアトリエ棟で数名に体験してもらったところ、距離感は調度良いと感じました。しかし、他の会場などで展示するには大きすぎ、運搬が難しいため、同じコンセプトのテーブルに置ける大きさのタイプも制作する予定です。

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ホタル通信 (2006)

Hotaru

Hotaru
デバイス
 

ホタル通信は、呼吸情報を使ったコミュニケーションツールです。これは、装着した人の呼吸を測っており、息を吐いたら光がつき、吸ったら消えるという単純なしくみです。呼吸リズムの速さによって色が変わり、相手の息遣いを視覚的に見れることで、相手が興奮やリラックスしている状態を知ることができます。(興奮しているときには呼吸が速くなり、リラックスしているときには呼吸が遅くなります。)また、相手の状態だけでなく、自分の呼吸を客観的に知ることで、自分の意外な感情や無意識の意識に気づくことができます。

また、複数の人がこれを装着すると、誰かと呼吸が合ったときに光がチラチラと一瞬明滅します。そこで、自分と近い感情の人がいることが分かり、コミュニケーションのきっかけにもなります。

◆技術的な仕組み

温度センサ、赤外線通信を、マイコン「Arduino」を用いて制御しています。鼻の下に手を当てると、呼吸に合わせて暖かい空気が鼻から出ているのが分かると思います。ヘッドセットのような入力デバイスを制作し、鼻の下の温度変化をセンサで読み取ります。それをマイコンに書き込んだプログラムでLEDの表示に変換します。また、呼吸のリズムを計算しており、赤外線送受信で自分の呼吸リズムと他の人の呼吸リズムが同じになった場合、LEDで同期している表示をしています。

◆評価

芸術科学会主催の「第6回NICOGRAPH春季大会」で発表したところ、論文&アート部門コンテスト「ポスターセッション部門 優秀論文賞」を受賞しました。(2007/3/24)

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Globalホタル通信 (2007)

Global-Hotaru


Global-Hotaru
システム
 

Global-Hotaru

Global-Hotaru
色の変化
 

Globalホタル通信は、地球環境を考えるゴミ箱です。ゴミをあまり捨てない=ゴミになるようなものを購入しない=無駄なエネルギーを使わず地球にやさしい、というコンセプトです。ゴミ箱の上には半円の光る地球がついています。ゴミを捨てた頻度を記録し、ゴミを頻繁に捨てているとその地球が赤く速い周期で明滅します。赤い色は地球の怒り、息苦しさを表現しています。周期が速いと疲れて息の荒い状態に見せています。一方、ゴミ箱をあまり使わずゴミを捨てていないと、地球が青く光り遅い周期で明滅するようになります。青い色は地球の優しさ、心地良さを表現しています。周期が遅いことで地球がリラックスしているように感じます。しばらくゴミをあまり捨てない状態が続くと、感謝の気持ちを込めて、開けたときに白い光がピカピカっと光り、「いつもありがとう」という気持ちをユーザーに伝えます。

◆技術的な仕組み

振動センサ、重量センサ、マイコン「Arduino」を用いて制作しました。しかし、マイコンを使用しているため5Vの電源が必要となっており、エコを考える視点からすると、そこが改善点です。太陽光パネルを取り付けたり、振動センサを利用した発電技術を用いるなどの工夫をすることで、より環境にやさしいプロダクトにできると考えています。

◆評価

この作品は、エコビジネスの芽を見つけ、育てるコンテスト「eco japan cup 2007」に出品したところ、 カルチャー部門エコデザインの準グランプリを受賞しました(2007/12)。またこの作品は、2007年12月13日(木)~12月15日(日)東京国際展示場にて開催された、「エコプロダクツ2007」のエコジャパンカップのブースにて展示されました。

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A Injuring Mirror (2006)

The Mirror

The Center Shot
The Center Shot2
Memo for the Work
Prototype-1

A Injuring Mirror (傷つける鏡) は、普段見ることのない自分の後ろ姿に自分の前姿を重ねてみることができる作品です。覗き込む自分、その自分を覗き込む自分。観察者を観察する観察者。観察する側とされる側がループします。

前方にディスプレイとハーフミラーを重ねて設置し、後方にカメラを設置し、後方からの姿と前方からの姿を合成して見ることができます。

ある日、大学の外に出るとペチャンコになった鳥が死んでいました。それは、大学の壁面ガラスに激突して即死したらしく、鳥のかたちをとどめてはいませんでした。健やかな学生生活の裏にひっそりと存在していた死に気がつきました。

この他にも、人工物の犠牲になっている生き物は多いと思います。ガラスに衝突する鳥もそうであるし、交通事故で死亡する生き物もそうであり、人間も例外ではありません。私はここに矛盾を感じました。人工物を作る者も生き物だからです。

◆試作

ループする概念を形にするための試作として、「死なない生き物」を制作した。市販の七味唐辛子入れを改造した。自分がふたを開けて細い入り口をよく覗くと、暗い中で何か動いてるものが見える。実は入れ物の中に鏡が仕込んであり、動いて見えるものとは自分自身の眼球である。これを体験した人の反応を元にA Injuring Mirrorを制作した。

 


 

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